文由閣について

皆さまのご縁を経由し、文化の由縁になる

東長寺檀信徒会館「文由閣」は、平成27年6月に竣工いたしました。「皆さまのご縁を経由し、文化の由縁になる」という意志を込めて、名付けられました。

文由閣は立体的な伽藍構成となっております。各階はそれらとは独立したエレベーター棟で結ばれており、特徴的な建築となっております。また各階に安置する仏像や荘厳仏具も特徴的な素材、形となっており、新しい時代の寺院建築を目指しております。

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伽藍・仏像・宝物

伽藍

5階 慈嶽堂じがくどう法堂はっとう

最上階は、法要を営む文由閣の本堂です。東長三十三世重興慈嶽和夫大和尚の想いを継ぐべく「慈嶽堂」と名付けられました。ご本尊は阿弥陀如来をお祀りします。先住忌や龍樹忌などの特別法要、そして檀信徒のご法事などを執り行います。

慈嶽堂(法堂)

4階 龍樹堂りゅうじゅどう(納骨堂兼位牌堂)

納骨堂となる4階は、大乗仏教の発展に大きく寄与したといわれている龍樹菩薩から「龍樹堂」と名付けました。お堂の中心には「大地」や「体内」を意味する地蔵菩薩をお祀りします。
結の会会員のご遺骨を納骨する納骨壇と位牌を安置する位牌壇は輪島塗の制作集団「輪島屋善仁」の職人の手によるものです。

3階 講堂

文由閣の中層である3階は、文由閣の文化発信拠点となる講堂です。講演会や展示会など、檀信徒の皆さまや一般の方にもご参加頂ける行事を執り行います。

2階 承庵しょあん(斎場)

檀信徒の皆さまのご葬儀を執り行う葬祭の場です。故人の想いを受け継ぐ場として「承庵」と名付けました。「承庵」の「承」の字には、前のものを受け継ぐという意味があります。葬祭は故人との最後のお別れの場ですが、命は亡くなっても「生」は決して消滅しません。その生を受け継ぎ、想いを継承する場となるようお勤めさせて頂きます。

承庵(斎場)

1階 ロビー(寺務所)

全面ガラス張りの空間を彩る竹の格子天井、周囲に広がる水盤。結の会のご案内や、すでにご入会の方のご相談、またお参りの方の休憩スペースとしてご利用頂けます。
またトークショーや少人数のイベント空間としてのご利用もあります。文由閣職員の寺務所もありますので、お気軽にお立ち寄り下さい。

ロビー

仏像

文由閣の仏像はいずれも平安時代後期につくられ、その後、米国へ流出しておりました。平安時代後期は、894年に遣唐使が廃止されたのを受け、国風文化が開花した時代です。仏像彫刻においても試行錯誤が重ねられ、後世に多大な影響を与えた日本固有の「和様彫刻」の完成に至った時代であります。阿弥陀如来、地蔵菩薩ともに、長い歴史の中で、多くの人々の祈りを受け止めて参りました。その文化とご縁を、今を生きる私たちが保存し、未来へ受け継いでゆきます。

阿弥陀如来立像

阿弥陀仏とは、サンスクリット語で「アミターバ(無限の光をもつ者)」「アミターユス(無限の寿命をもつ者)」を表します。この阿弥陀仏の支配する世界が極楽浄土です。また、如来とは、私たちに真理を教え導く者という意味があります。文由閣の最上階、つまり「天」である本堂に、すべての者を極楽浄土に導く仏である阿弥陀如来様をお祀りしております。

阿弥陀如来立像

地蔵菩薩立像

納骨堂である龍樹堂の中心には地像菩薩をお祀りします。地蔵とは、サンスクリット語で「クシティ・カルバ」と言い、「大地」「胎内」「蔵」を意味します。右手に錫杖、左手には福德を表す宝珠を持ち、人々の救済にあたられました。私たち人間の世界は、大地と天との間にあります。大地(地蔵菩薩)から天に向けて想いを届けるべく、この地蔵菩薩を囲んで御位牌を安置致します。

伝統工芸仏具

輪島塗

漆芸は英語で「japan」と表されるほど、日本を代表する工芸です。生産地は日本各所にありますが、なかでも輪島の漆器は昔と変わらぬ製法を守り、強靭さと美しさが特徴です。文由閣の仏具では、慈嶽堂や龍樹堂に御本尊をお祀りする厨子、木魚や鏧子を置く台、焼香机などを輪島塗で製作しています。

厨子
厨子
位牌壇
位牌壇

高岡銅器

仏具はその精緻さと美しさに心が洗われる高度な美術工芸です。実は日本の寺院で使用されている金属仏具の90%以上が、富山県高岡市で製造されています。文由閣の仏具では、慈嶽堂に揃える鏧子と五具足、各御堂の入口にお飾りする堂名板、高岡の銅器で製作しています。

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鏧子
堂名板
堂名板

別府竹細工

笊や籠などの日用品として誰もが知っている竹細工。あらためてみると、実にうまくできています。接着剤も使わず、竹の弾力で形が保たれています。美しいカーブはこの弾力の表れでもあります。別府の竹細工は、この技術を極めた美術工芸品のひとつです。文由閣の仏具では、慈嶽堂の天蓋と1階ロビーの格子天井を、別府の竹細工で製作しています。

慈嶽堂の天蓋
天蓋
1階ロビーの格子天井
竹格子天井

現代の革新が100年後のクラシックになる
宗教建築を目指して

日本を代表し現代まで残る多くの寺院は、当時の人々の叡智を結集して建立され、今も色褪せることのない輝きを放っています。この檀信徒会館「文由閣」もまた、現代の意匠、構造技術、設備技術などの智慧を最大限に活用し、100年後の後世に伝える宗教建築を目指しています。

建築

免震構造

東日本大震災を経験した私たちは、建物の構造について、これから起こり得る地震に対して対応していかなくてはなりません。そこで文由閣は免震構造とすることにしました。各種免震装置を設置して文由閣の財産を守るとともに、何かの折には本院の代替施設となるでしょう。

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パッシブ建築

構造と同様に、東日本大震災を経験した私たちは、エネルギー問題に真剣に取り組まなくてはなりません。建物もエネルギーを大きく消費するのではなく、建物の断熱性能や遮熱性能を上げることにより、エネルギーを消費しない「パッシブ」という考え方が必要な時代になってきました。文由閣はエネルギー消費量を極限まで抑える省エネルギー化を目指して、設計、工事を行いました。

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再生エネルギーを利用した設備

一般的に地球がもっている熱エネルギーが「地熱」というものですが、都市の足もとにある恒温のエネルギーを温熱・冷熱として利用するものが、「地中熱」というものです。地上の温度は、昼夜、季節によって変化します。それに対して、地中のある深さにおいては、温度差がなく概ね一定の温度で保たれている。この地中の熱エネルギーを利用したものが、地中熱エネルギーを利用した冷暖房システムです。文由閣では国の補助事業(地域再生可能エネルギー熱導入促進対策事業)を利用して、このシステムを導入致しました。

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ランドスケープデザイン

コンセプトとデザイン

文由閣の敷地武蔵野台地の淀橋台に属しています。地形的には神田川支流の紅葉川の上流部(現在は暗渠化)にあたります。その紅葉川の名に由来して、イロハモミジ、コハウチワカエデ、ノムラモミジ等の紅葉を植樹しました。また明治初期の地形図から、谷筋を利用した蓮池や水田があったことがわかり、そこに在るべき植生の回復を目指して、「アゼターフ」という在来種(草本種)を植えこんだ植生マットを敷きつめました。

ランドスケープ